左ききはいつ決定づけられるのか?
前回の記事「【左利きの研究】左利きはどうやって決まるのか?」のように、利き手が決定する要因はいくつか挙げられるということは説明が付きますが、左利きが左利きとして確実に決定する時期というのはいつ頃なのでしょうか。
私もも物心ついたときから左利きでしたが、幼少時の写真を見ると右手にクレヨンを持って紙に何かを書いている写真があります。おそらく周りの子のマネをしたのか、親に右手で持たされたのか・・・。1~2歳頃の時点ではまだ周りも「この子は左利きだ」と認識できていなかったのだと考えられます。
乳幼児期に指先を使うように発達していく
赤ちゃんは生後5ヶ月くらいから身近にあるものなどに手を伸ばし、それをつかもうとする動作を頻繁に見せはじめます。このとき、発達の原理としては身体の中心から末端へ、頭部から末端へという発達の方向性がある、つまり頭や胸部腹部などが先に発達し、順番に腕・足から指先へと発達していくと言われています。
この、手を伸ばす行為を「リーチング」、物体を掴んだり指で把握したりする行動を「マニピュレーション」と呼び、言語の発達の上でも重要な意味があるのだそうです。
この乳幼児期のリーチングとマニピュレーションが、利き手の決定に対してどのような影響があるのかが検証されているそうです。
3つの利き手決定の理論
おおきくわけて3つの利き手決定の理論があります。
1つ目は「生得説」と言われているもので、利き手は完全に遺伝子的に決められているもので、その後の発達段階で変化するものではないという説。
利き手が決定する時期というのはその機能が遺伝的に成熟期に入る時に決まるものであり、最初から決まっているので生後の環境は影響しないというものです。
2つ目は「段階的発達理論」と言われるもので、これは乳幼児には左右の利き手という機能差はなく、発達段階において機能差が明らかになるという説です。この説は1980年代にたくさんの否定的な研究が行われ、1990年代になるとやや説得力に欠ける説と言われるようになったそうですが、否定ありきの研究をしていたのならそうなるのも必然であると考えられます。数々の研究で遺伝子的な影響というのは明らかになっているので当然かも知れませんが。
現在においてもっとも信憑性があると言われているのが3つ目の説で、「生得説」と「段階的発達理論」をミックスしたような折衝案とも言える説で、乳幼児期にはすでに利き手の左右差がある程度存在し、かつ発達段階で環境との関わり方によって変化したり強まったりするという説です。
つまり、遺伝的には右利きとして産まれてきても、リーチングやマニピュレーションが左手で行われるような癖がついて成長段階で左利きになるということです。
これは産まれて間もない7ヶ月の乳幼児にも手の使用頻度に偏りがあり、かつその後もその傾向が強まっていくことが立証されたため証明された理論だそうです。
もしかしたら、「箸や字を書くのは左利きだけどスポーツは右利き」といったパターンの左利きの人は遺伝子的には右利きだったのかもしれないですね。
7歳を超えるとほぼ変わらない
では、利き手が確実に決定づけられるのは何歳ごろなのでしょうか。
ゲゼルというアメリカの学者の古典的な研究結果によると下記のようになります。
0歳~1歳 偏った傾向は見られない
2歳~3歳 偏りはじめるが混ざっている
4歳~6歳 もっぱら片方の手を使う
7歳以降 安定して片方の手を使うようになる
このような研究結果が得られましたが、似たような研究が近代でも行われた結果、やはり4歳~7歳の間に利き手が定着するという結果が得られました。
しかし一方で、利き手はもっと早い段階で決定するという検証結果もあるそうで、お母さんのお腹の中にいる胎児の頃の指吸い行動には一定の偏りがあり、左手を使用している赤ちゃんは全体の77%という、世界の左利き割合10%とそこそこ近い割合であることから、胎児期に左利きが決定しているのでは?という説です。
しかし、指吸の手と利き手は関係あるのでしょうか?右利きでも左手の指を吸う子どもはいますし、その逆もあります。ちょっと支持できない説ではないかと感じます。
まとめ
やはり遺伝子的にある程度決定はされているものの、後天的に左利きになることもあるので、7歳頃までに利き手が決定し、7歳を超えて左利きであればその子はもう立派な左利きです!
ようこそ!素晴らしき左利きの世界へ!